- いれる
- I
いれる【入れる】❶ある区画・容器の外側にあるものを, 内側に移す。(1)物を容器の中に移す。
「カメラにフィルムを~・れる」「コップに水を~・れる」「受け取った金を銀行に~・れる(=預金スル)」
(2)ある物を, それがちょうどはまり込むようになっている所へはめ込む。「窓にガラスを~・れる」「入れ歯を~・れる」
(3)入ってこようとするのをさまたげずにおく。「窓をあけて風を~・れる」「だれも部屋には~・れない」
(4)(液体や粒状の物の中に)異質の物を加えて混ぜる。 混ぜる。「コーヒーに砂糖を~・れる」「栗(クリ)を~・れた御飯」
❷人や物をある集団や施設に移す。(1)その集団の中に加える。「うちの工場に若手を二, 三人~・れることにした」「君たちを仲間に~・れる」
(2)別の組織や施設に移す。「病人を病院に~・れる」「子供が六歳になったら小学校に~・れなくてはいけない」
(3)新たに機械・道具などを導入する。「新しいコンピューターを~・れた」
(4)商人が商品を納入する。「うちで~・れた品はあとまで責任をもちます」
(5)商人が品物を仕入れる。「この食堂では酒類はすべてあの酒屋から~・れている」
(6)金銭を家計のために提供する。「自分の食費は, 毎月家に~・れている」
(7)戸籍に帰属させる。「結婚式はあげたが, まだ籍を~・れてない」
(8)(「質に入れる」「担保に入れる」の形で)担保物件として相手にさし出す。「指輪を質に~・れて金(カネ)を作る」「家を担保に~・れて金を借りる」
❸間や途中に何かを置く。 はさむ。(1)二つの物の間に別の物をはさむ。「外壁と内壁の間に断熱材を~・れる」
(2)物事を中断して他のことを割り込ませる。「文章の途中に写真を~・れる」「番組の途中にコマーシャルを~・れる」
(3)疑いなどをさしはさむ。「疑いを~・れる余地がない」
❹(「…に力を入れる」の形で)(1)…の筋肉を緊張させる。「両足に力を~・れてふんばる」
(2)…に努力を集中させる。 努力する。「新製品の開発に力を~・れる」
❺ある作用を外から加える。(1)くぼみ・墨などによって線・図形・文字を記す。「三〇センチおきに切れ目を~・れる」「万年筆に名前を~・れてもらう」「透かしを~・れた紙」
(2)(「…を入れる」の形で, 言葉による動作を表す語を受けて)他人に対し, 言葉で働きかける。「先方に詫(ワ)びを~・れる」「そういうときはすぐに断り(=事情ノ説明)を~・れておかなくてはだめだ」
(3)横から口を出す。「ひとの話に茶々を~・れるな」「ひとの話にわきから口を~・れる」「横槍を~・れる」「半畳を~・れる」
(4)(「連絡を入れる」「電話を入れる」などの形で)…に連絡をする。「出張先から本社に連絡を~・れる」「会社に電話を~・れて指示を求める」
(5)修正や欠点指摘の作用を加える。「買った家に手を~・れる」「人の書いた文章に手を~・れる」「行政の腐敗にメスを~・れる」
(6)他人に対し, 気力をふるいたたせるような作用を加える。「監督が選手に気合を~・れる」「活を~・れる」
(7)自分自身, 気力や努力を注ぎ込む。「もっと身を~・れて勉強しなさい」「念を~・れて校正をする」「学術書の出版に本腰を~・れる」
❻ある範囲に含めて考える。(1)数量を数える際, それをも含めて数える。「参加者は私を~・れると一〇名だ」「費用は交通費を~・れて五千円」
(2)分類をする際, あるグループの中に含める。「中学生は大人に~・れる」
(3)(「…を考えに入れる」などの形で)物事をする際, ある事を考慮の対象に含める。 考えに含める。「こういう事情を考慮に~・れて処理して下さい」「乗り換え時間を計算に~・れてなかったので, 遅れてしまいました」
(4)目・耳などの知覚や記憶に取り入れる。「ぜひお耳に~・れておきたいことがあります」「やがて見参に~・れたりけり/平家2」
❼(「火を入れる」の形で)炉などに点火する。「熔鉱炉に火を~・れる」「ストーブに火を~・れる」
❽機械・道具を操作して機能させる。「スイッチを~・れる」「一日中暖房を~・れている」
❾(「容れる」とも書く)他からの提案や要求を認めて採用・受諾する。 うけいれる。「現場の人たちの提案を~・れて改革をはかる」「世に~・れられずにさびしく死んだ」
❿(「淹れる」とも書く)湯を注いで飲み物をつくる。「お茶を~・れる」「コーヒーを~・れる」
⓫投票・入札などで, 氏名・可否・値段などを記した紙片などを箱に入れて自分の意志を表す。「今度の選挙ではだれに~・れようか」
〔「入(イ)る」に対する他動詞〕︱慣用︱ 頭に~・息を~・一札(イツサツ)~・肩を~・活を~・勘定に~・気を~・気合を~・嘴(クチバシ)を~・腰を~・ご覧に~・探りを~・朱を~・朱筆を~・底を~・茶々を~・手に~・手を~・泣きを~・念を~・年季を~・鋏(ハサミ)を~・一息~・筆を~・本腰を~・身を~・耳に~・メスを~・焼きを~・詫びを~/間(カン)髪(ハツ)を入れず・世に入れられるIIいれる【煎れる・炒れる】(1)炒られた状態になる。「豆はもう~・れた」
(2)いらいらする。 いらだつ。「ほんに肝の~・れた事よ/滑稽本・浮世風呂2」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.